第48回目 シリーズ:高校生アスリートに伝えたい”身体づくり”
「”力” を無駄なく使える身体へ」
「もっと筋力をつけたい」
「もっとジャンプ力を上げたい」
「もっと速く動きたい」
スポーツをしているとそう考えることがありますよね。
だからこそ、トレーニングをして体を強くする。
もちろんそれはとても大切です。
でも、競技で本当に大切なのは
「今、持っている力を、どれだけムダなく使えるか」
ということです。
今回は日々トレーニングで身につけた力を
パフォーマンスに繋げるためのコツをお伝えします。
<内容>
・強いだけでは、最後まで戦えない
・最初と最後でどれだけ力を残せるか
・「疲れる=体力不足」とは限らない
・効率よく動くために必要なのが「動ける身体」
・「柔らかい身体」と「動ける身体」は違う
・身体づくりは「力を足す」だけではない
・今日から意識してできること
●強いだけでは、最後まで戦えない
スポーツでは、一度だけ大きな力を出せば終わり、ということはほとんどありません。
走る、跳ぶ、止まる、切り返す、投げる。
そしてまた走る、跳ぶ、止まる・・
多くの競技ではこうした動作を何度も繰り返します。
例えば、試合の最初は100の力を出せていた選手が、疲れて最後には60しか出せなくなった、とします。
一方で、最初は90でも、最後まで80~90の力を出し続けられる選手がいたらどうでしょう。
試合の後半では、大きな差になるかもしれません。
だからアスリートに必要なのは
「一瞬だけ強い身体」ではなく「最後まで力を使い続けられる身体」
です。
そのためには筋力だけでなく、身体がエネルギーを作り、筋肉に届け、使い続ける能力も必要になります。
これも「体力」の大切な役割です。
●最初と最後で、どれだけ力を残せるか
多くのスポーツでは、一度だけで強い力を出せば終わり、ということではありません。
バレーボールなら、
ジャンプをする → 着地する → 移動する → またジャンプする → 動く
というように、何度も力を発揮する場面があります。
そこで大切なのが
「最初と最後で、どれだけパワーを出す力の差を小さくできるか」
ということです。
最初は100の力が出せても、疲れて最後には60しか出せない。
それよりも、最初から最後まで80〜90の力を維持できる選手のほうが、競技では強い場面があります。
そのためには、筋肉が何度も働くためのエネルギーを、体がしっかり作って届ける必要があります。
これを支えているのが、いわゆる「体力」です。
「体力」と聞くと、長距離を走れることをイメージするかもしれません。
でも、本当はもっと広い意味があります。
その中でも基本となるのが
「運動している筋肉に、必要なエネルギーを届け続ける体の仕組み」
です。
心臓や肺、血液、筋肉などが協力して、体を動かし続けています。
だから、競技力を高めるには「筋力」だけでなく「エネルギーを作り、届け、使い続ける能力」も大切なのです。
●「疲れる=体力不足」とは限らない
競技中、すぐに苦しそうになっている選手を見ると、
「体力がないのかな?」
と思うことはありませんか?
もちろん本当に体力が不足している場合もありますが、もう一つ考えて欲しいこと・・それが、
「力を効率よく使えているか?」
ということです。
例えば、釘をハンマーで打つことを考えてみてください。
まっすぐな釘なら、ハンマーの力を釘に伝えやすいですよね。
でも、釘が曲がっていたらどうでしょう?
どれだけ大きなハンマーを使っても、力をうまく伝えることができません。
すると
余計な力を使う → エネルギーを多く消費する → 疲れやすくなる → 後半にパフォーマンスが落ちる
ということが起こります。
つまり、
「強くなること」と同じくらい「効率よく動けること」が大切なのです
●効率よく動くために必要なのが「動ける身体」
では、身体を効率よく動かすためには何が必要なのでしょうか?
その一つが
「関節をしっかり動かせること」です。
例えば、本来は股関節を大きく動かしてほしい動作なのに、
股関節が十分に動いてなかったら、どうなるでしょう?
身体はその動きを別の関節や筋肉で補おうとします。
腰や膝を余計に動かしたり、身体に必要以上の力を入れたりすることがあります。
すると、動作はできても
「ムダの多い動き」になってしまうことがあります。
これは、肩や足首などでも同じで、身体は一つにつながっています。どこか動きにくければ、別の場所が頑張って動きを補う。
だからこそ
「必要な関節を、必要な範囲まで動かせる身体」を
作っておくことが大切です。
●「柔らかい身体」と「動ける身体」は違う
ここで、勘違いしてほしくないこと。
身体づくりで目指したいのは「身体を柔らかくすること」ではありません。
あくまで目的は「パフォーマンスを改善すること」であり、
「自分が今より動かせる範囲(関節の可動範囲)を十分に準備しておく」ために身体を変えるのです。
例えば、股関節が大きく動くとしても、その動きを自分でコントロールできなければ、競技に生かすことができません。
逆に、必要な範囲までしっかり動かすことができる、かつその動きを自分でコントロールできれば、動作(プレー)の選択肢が増えます。
つまり「動かせる」+「コントロールできる」ところまで身体を準備することが大切なのです。
●身体づくりは「力を足す」だけではない
トレーニングで筋力やパワーを高める。これは「身体に力を足す」ことです。
一方で、ストレッチや動きづくりによって身体を十分に動かせる状態をつくる。
これは、「持っている力を使いやすくする」ことです。
どちらも大切です。だから、筋力を高めることだけが身体づくりではありません。
「強くすること」と「動けるようにする」こと。そして
「その力を効率よく使えるようにする」こと。
この3つが揃って、競技で使える身体になっていきます。
●今日から意識してできること
毎日のストレッチでただ「伸ばす」のではなく
「この関節はどこまで動く?」
「左右で違いはない?」
「この動く範囲を競技の動きで使えている?」
と、自分の身体をチェックしてみてください。
ストレッチはただ身体を柔らかくするための時間ではありません。
自分の身体を知り、動ける範囲を確保し、持っている力をムダなく使うための時間です。
身体づくりは
「強くする」だけではない。
「動ける身体」をつくり、「力をムダなく使える身体」をつくる。
そのための小さな積み重ねが毎日のストレッチです。
強い身体を作る。
そしてその強さを使える身体を作る。
この両方を大切にしていきましょう。
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