大学のトレーニングルームで、大腿四頭筋(太もも前面)の肉離れの既往がある学生に対応しました。話を聞くと、ハムストリングス(太もも後面)の肉離れが治った後に痛めてしまった・・とのこと。裏も表も、どっちも痛めるということは何か原因があるんだね…
質問は「うつ伏せで足を引き寄せて太ももを伸ばすと、最後に引っかかりと痛みをどうすればいいか」一般的なチェックと評価からストレッチング指導を行いました。
<内容>
- ケガの発生しやすい状況とは?
- 股関節前面(腸腰筋)のストレッチング
- 股関節後面(ハムストリングス)のストレッチング
●ケガが発生しやすい部位とは? 肉離れが一番起こりやすい場所は太ももの後面の筋(ハムストリングス)、次に太ももの前面の筋(大腿四頭筋)、そしてふくらはぎ(下腿三頭筋、特に腓腹筋)と言われています。いずれも共通している点が「二関節筋である」ことです。2つの大腿部の筋群はいずれも股関節と膝関節の動きが含まれ、ふくらはぎは膝関節と足関節の動きに関与します。
●股関節前面(腸腰筋)のストレッチング 1点目「大腿四頭筋は股関節から始まる二関節筋である」。ケガした側の股関節に硬さがみられたので写真のようなリバースランジを実施しました。ストレッチの姿勢も背中が丸く、頭が下がってしまうので①後ろ脚の膝をしっかり伸ばし②足首を90度に起こす③背中を丸くしない・・などのポイントを伝え修正しました。

この後に「お腹のストレッチ」腸腰筋から腹斜筋のストレッチングも行ってみました。ここまでの時点で、太ももの前面の違和感は解消され、太ももの前面に影響していたのは腸腰筋の硬さも要因だったことがわかりました。


●股関節後面(ハムストリングス)のストレッチング 2点目は「ハムストリングスは坐骨から始まる二関節筋である」。柔軟性のチェックで左右差があったので、床面で開脚させるとハムストリングスの緊張によって骨盤が後に傾いてしまうので、ステップ台に座ってまず”坐骨”にのり、体側のストレッチを行いました。


坐骨(結節)からハムストリングスが始まっています。乗ると骨盤が起きるので、坐骨に乗れると腰回りの緊張が緩みます。踵の方へ両腕を伸ばす感じで行っていきます。
もう一つ両手で脚を引き寄せながら太もも後面を伸ばしました。

今回は時間がなかったのでこれらの指導で終了しました。股関節の動きの悪さが、太ももに負担をかけたことが直接的な原因ですが、腰周りの硬さも見られたら腰痛もあることを聞くと、根本的な原因は他にもありそうでした。
何も特別なストレッチングではないのですが、きっちりやることと自分の体への理解は大事かな、と思います。こうした機会に少し気づいてもらえたら幸いです。
「筋肉がどこについている」と添えるとうまく伝わった気がします。体育大学生には授業で習ったことを合わせて教えるのも大事かな、と思っています。