「ジャンプ力を上げたいです」
「もっと速く切り返せるようになりたいです」
先月の指導の時、バレーボール部の高校生からそんな要望を受けていました。今回は約2時間のトレーニング指導の中で、ドリルの目的と動作のイメージの共有を行いました。
<内容>
・動作は「技術」
・ジャンプの基本的な技術
・切り返し動作に必要な「片脚で止まれる力」
・ウォールドリルによる”地面反力”
・高校生に伝えたこと
●動作は「技術」ジャンプ力や俊敏性と聞くと、
重りを持つ、強い負荷をかける、トレーニングの回数を増やす——そんなイメージを持つ選手も多いかもしれません。
今回、最初に取り組んだのは
ブラジル代表チームのキャプテン
”ガビ” のスパイクジャンプの動画を見せました。

その後、自分がどんな「跳び方」をしているか確認するところから始めました。
・助走から踏切り足の幅の広さ
・バックスウィングの大きさ
・助走から踏み込んだ時の体幹部の角度
「ここ(踏み込み)が大事だと、考えたことがなかった」と呟いていた子もいました。
跳び方(跳ぶ動作)は「技術」です。
「技術」は「能力」ではないので、訓練すれば身につけることができます。ただし理解と実践は必要です。
特に今回は股関節と足関節の動かし方、動きを引き出すことでどんな感覚の変化が起こるのか、ということを体感してもらいながら取り組んでみました。
●ジャンプの基本的な技術 ジャンプ動作で大切なのは
①股関節と足関節が十分に曲がる(屈曲)できる
②タイミングよく一気に屈曲→伸展(伸ばす)できる
③バックスウィングと踏み込みのタイミング
この①〜③の動作、多くの高校生はすぐに理解し実践できません。
・股関節を曲げる、が理解できない(腰が丸くなる)
・足関節が曲がらない(×ふくらはぎが硬い)
→正しく屈曲できないから伸展もできてない
・バックスウィングのタイミングがわからない
・スウィングが小さくなる
助走つきジャンプよりまず、その場ジャンプが基本。
例えばブロックジャンプの”構え姿勢”のベースとなる「スクワット姿勢からカーフレイズ(つま先立ち)」を行わせました(写真1)
写真1:コンビネーション・カーフレイズ


●切り返し動作に必要な「片脚で止まれる力」 バレーボールにおいてジャンプと同じくらい重要なのが、切り返し動作。そこで取り組ませているのが
・片脚でのバランス(写真2)
・片脚スクワット(写真3)
・四股踏み
片脚でしっかり動作をコントロールできないと
・膝が内側に入る
・身体がブレる(バランスが取れない)
・着地が不安定になる
よく「片脚着地を直したいのですが、どうすればいいですか?」と聞かれることがよくあります。膝を痛めてしまう原因が、片脚着地だから、とのこと。
しかしながら、バレーボールではほとんどの動作が片脚支持の連続です。切り返し動作、横方向への移動、助走からの踏み込みジャンプも片脚です。
両脚での強化だけではパフォーマンスの向上は見込めないので、ケガの予防も考えるならば、段階的に片脚で ”立つ・支える” 動作ができて初めて、素早い方向転換が可能になります。
写真2:片脚バランス


写真3:片脚スクワット

※”膝が入らない”ためには中臀筋という筋の強化が必要です
●ウォールドリルによる”地面反力” 壁を押す「ウォールドリル」で、地面を踏み込んだ力が体幹に返ってくる(地面反力)力を体感させてみました。
体幹と股関節を一直線にし、両手で壁を強く押すというものですが、ここでも”コツ(体の使い方)”があります。正しく押せると腹筋を使わなければならないこと、お尻の筋肉を使わなければ、押す力に自分が負けてしまうことがわかります。
・前方向への踏み込み
・横方向への踏み込み
力を地面に加える方向のベクトルをイメージさせながら、実際に前後、左右に動きながら、「壁を押す」動作時の体幹の傾きなどそれぞれで意識しながら動いてみました。
●高校生に伝えたこと 今日やったことがすぐにできるわけではありません。基礎的なことは理解するにも習得するにも時間がかかります。
でも、
土台が身につけば、上に積み上げることができる。
身体が変われば、新たなバレーボールの技術を獲得することができる。
身体を正しく使うとは、関節が適切な方向で動くことであり、筋肉が強く収縮することができる。
決して派手なトレーニングではないけれど、少し考えたり工夫したり感覚を獲得しようとする行動によって同じドリルでも「個別性」が生まれます。こうした積み重ねが競技力を底上げに繋がるのではないかと思っています。
●まとめ ジャンプ力向上も切り返し能力向上も
・関節の動き
・力を使うタイミング
・片脚で支える力
・地面からの反力
この土台が必要ですが、一貫性を持って指導するこちらのスキルが求められます(私もまだまだ、です)。
高校生にもなると、それぞれがこれまでの競技歴で身につけた”基礎”を持っています。しかしながら、その”基礎”はステージが上がるにつれて、壊したり積み直しをしなければならない時がある、と感じています。
「競技レベルを高くしたい」という選手の気持ちが大前提ですが、本当に上手くなりたいのであれば、私は私のやり方で根気強く、伝えてみたいと思います。
