夏場におけるアスリートの水分補給は非常に重要です。気温そして湿度が高い環境では、体温調節が難しくなり、熱中症のリスクが高まりるだけでなく、パフォーマンスにも大きく影響します。
「適切な水分補給」とはどういう行動なのでしょうか。夏をむかえる今の季節から学び、準備をしておきましょう。
<内容>
・水分補給とパフォーマンスの影響
・「適切な水分補給」とは
・体調の崩れを感じたら
●水分補給とパフォーマンスの影響
水分補給を適切に行うと、運動パフォーマンスに対して以下のような重要な影響を与えます。
1. 体温調節
十分な水分補給により体温を正常に保ち、暑さに対する耐性(強さ)を高めます。逆に体内の水分が不足すると、体温が上昇し、パフォーマンスが低下します。
2. スタミナ向上
水分が不足すると、筋肉の疲労が早まり、持久力が低下します。適切な水分補給は、持続的なエネルギー供給を助け、全体的なスタミナを向上させます。
3. 筋力とパフォーマンスの維持
体が脱水状態になると、筋肉の収縮能力が低下し力が出しにくくなります。水分を適切に補給することで、筋力の維持や向上が期待できます。
4. 精神的な集中力向上
適切な水分補給により、認知機能を保ち、注意力や判断力が向上します。水分不足は集中力や反応速度を低下させることがあります。
5. 回復(リカバリー)の促進
運動後の水分補給は、筋肉の回復や損傷の修復を助け、次のトレーニングに向けた準備を整えることができます。
6. 疲労感の軽減
水分が適切に補給されていると運動中や運動後の疲労感が軽減され、より積極的にトレーニングを続けることができます。
これらの要素により、適切な水分補給が運動パフォーマンスの向上や持続に貢献します。
●「適切な水分補給」とは
運動中の水分補給の推奨タイミングやポイントを以下にまとめます。
運動前のポイント:体に十分な水分を補給しておく
運動の1~2時間前に約500mlの水分を摂取し、十分に水分を補給しておきます。
運動中のポイント:持続的な補給
最初の15~20分: 運動開始から15~20分ごとに200~300mlの水分を補給する
特に長時間の運動や暑い環境下では、定期的に小まめに補給し、喉が渇く前に飲むよう心掛けましょう。
運動後のポイント:リカバリー
運動終了直後にも速やかに水分を摂取し、失われた水分を回復させることが大切です。
経口補水液の飲み方
濃度経口補水液は、体液のバランスを回復させるためのものです。薄めず、そのままの濃度で摂取することが重要です。
飲む量は喉が渇いたと感じる前に、ゆっくりと飲み進めることが望ましいです。
このタイミングでの水分補給により、熱中症の予防やパフォーマンスの向上が期待できます。
● 体調の崩れを感じたら
熱中症の症状が疑われたら、すぐに運動を中止します。以下は現場で行うべき初期対応です。
水分補給と冷却
水または経口補水液を摂取し、身体を冷却できる環境を整えましょう。
症状の確認と涼しい場所での安静
頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れた場合は、運動を中止し、涼しい場所で休むことが必要です。
119番通報 or 医療機関を受診する
状況が改善しない場合は119番に連絡し指示を仰ぐか、医療機関を受診することが重要です。
後編は、「アスリートの熱中症予防について」詳しくご紹介します。