教育レポート#8:「スポーツの基本動作から考えるパフォーマンスアップとケガ予防」

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 鹿屋体育大学で2月2日に行われた、令和7年度競技力向上セミナーのセミナー講師として担当させていただきました。その内容と様子のレポートです。

 普段、トレーニングルームで学生たちは各々トレーニングを行っています。

 今回は私たちトレーナーが”どんな視点”でアスリートの動作を観察し、指導しているのか?彼らの日々の努力に少し新たな考え方を吹き込んでみたら、どんな風に感じてくれるだろうか?

 そんな思いも込めて実技メインのセミナーを行ってみました。

【内容】

・学生へ向けてのメッセージ

・姿勢の観察/運動の面と軸

・基本動作×解剖学(考える視点)

・まとめ

●学生へ向けてのメッセージ 「今のあなたは『何』を身につけることで、自分の能力を最大限に活かせるのだろうか?」

 大学まで競技を続けているって本当にそのスポーツが好きなんだと思うのです。だからこそ、思う存分競技に打ち込んでほしい。

 以前、学生がこのように呟いていた言葉が私の今回のテーマでした。「本当に、このトレーニングは(自分の競技の)パフォーマンス向上に繋がっているのだろうか」と。

 自信を持って言えることは「繋がります」。でも学生が、もう少しトレーニングの知識を増やす必要もある。

 自分の競技に活かすために・・まず自分自身の「強みと弱み」を把握する。「何を伸ばし、何を補うのか」それを持っておくだけでも、ドリルの選択に意味が明確になる。ただ、漠然とトレーニングを行う前に、そしてこのセミナーが終わった時にもう一度、自問自答をしてほしい、と伝えました。

●姿勢の観察/運動の面と軸 「トレーニング動作をどう見るか」。人の姿勢や動作を観察する”視点”を持てると、自分にフィードバックできるようになります。その”視点”として運動の面と軸を、運動学の基本知識をピックアップしました。

 まずセミナー開始前に集まった学生同士でお互いの「姿勢の撮影」を正面(前額面)と側面(矢状面)から撮影してもらいます。

視点1:「姿勢を見るランドマーク」まず自分の姿勢を観察してみよう。というところから始めてみました!

 まず自分を知る。自分の姿勢を観察するポイントです。

視点2:「ランドマーク(軸)」と「運動面」で運動中の”体幹部”を観察しよう!

 例えば「頭ーお尻まで一直線」は正面からの「後頭隆起ー臀烈」のラインで体幹の”軸”となります。では「面」はどこにあるのでしょう?それは今自分が存在する”空間”で動かないものを基準とします。つまり”壁”や”床”です。これらと自分の位置関係を認知する重要な機能は視覚です。

 自分が「そこに存在する」という概念から「ある空間の中に存在する」「枠の中の自分」で捉える。例えば壁と壁の距離感も垂直ー水平の位置も意図的に「存在する」ことができる。”動作”という一種の漠然かつ曖昧そうな表現も、実は数学の”座標”のような視点で見ると、誰でも自己評価ができるようになります。

視点3:スクワットの時の体幹部の姿勢や、デッドリフトののヒンジ動作の体幹部の時の「運動の面」は?

 先ほどの「枠の中の自分」の「まっすぐ」という基準で分析してもらいました!お互いの姿勢をいくつかのポイントを用いてチェックすると、だんだんフォームが整うと同時に、身体に負荷がかかる(今までの経験よりもきつい)こと、関節がうまく動いていない(硬さを感じる)ことにも気づきます。つまり、面という意識を持つことで重力を負荷としてうまく利用することができる。これが自重トレーニングのメリットになります。

●基本動作×解剖学(考える視点) ウエイトルームではどうしても”筋を強くする”という発想が強くなってしまいますが、どんな動作でも共通してみるポイントは動作で主に使われる「関節とその動き」。関節と骨は要求された姿勢や伝達される力に対応できるように構築されています。動かす原動力は筋肉ですが、そもそも関節の動きが破綻してしまうと「ケガ」の要因になってしまいます。

視点4:「構えの姿勢(スクワット)」で使う主な関節の運動を確認してみよう」

・・股関節ってどこから曲げる運動なんだろうか?意外と腰が丸くなってない?さっきの「体幹の軸」はどうだろうか。足関節は正しく曲がってる?「つま先と膝の方向」を同じにしようね・・・

 例えば、足関節が”正しく可動する”ためには足部にあるたくさんの骨が適切に支えてくれていることが条件です。扁平足は、その機能が破綻しているため、足関節の動きに歪みが生じ、すでに正しく動かすことが難しくなるので「つま先と膝の方向」というキューで動きのコントロールを意識化させる必要があります。

視点5:体幹筋を”解剖学”でイメージを持つ

 「体幹筋」とは何か?胴体に取り巻く筋を挙げてイメージを持ってもらいました。大事だということはわかるけれど、パフォーマンスのどの場面で「体幹筋を使っている」と明確な答えは伝えづらいし分かりにくいです。

 まず「背骨(脊柱)を安定させる作用」がポイントだと伝えるようにしています。特に”骨盤”がグラグラすると、地面に立っている自分が不安定になるから・・という表現です。

 そこで座った姿勢、立った姿勢で抵抗に耐えてもらう姿を観察してもらいました。なんだか、”体の中心をじんわり使っている感じ””体幹を使う(背骨を安定させる)感じ”、とか・・・表現は色々、私は直接感じ取ってもらうようにしています。

 今回の参加者のほとんどは水泳部で、水という唯一の抵抗の中で自分の姿勢を安定させるって本当にイメージが難しいと思います。水泳選手が陸上でトレーニングすることを「ドライランドトレーニング」というそうです。陸上では足を地面につけて体幹を安定させることができる場所だからこそ、安定した姿勢でトレーニングを積むことで、パフォーマンスに反映されやすい競技なのではないかな、とも思います!

●まとめ 日々の体力トレーニングがどのようにパフォーマンスに貢献するのか。いつも専門家の指導を受けれるわけではない学生たちにとって、自分たちの取り組みの中でも、自信を持って欲しい。

 今回は私たちトレーナーが”どんな視点”でアスリートの動作を観察し、指導しているのか・・・動作の運動面や関節の役割、連動性について、体育学の基本となる「解剖学」も踏まえて、動きのイメージを伝えてみました。

 パフォーマンスには様々な体力要素が関与しますが、それをすべて高める時間は学生にはありません。限られた時間、環境の中でフィットネス(体力)を獲得しながら、ケガを予防し、高いレベルの練習に耐えうる身体を獲得することができるか?

 冒頭に投げかけたように「今のあなたは、何を身につけたいのか?」何を変えれば今の自分を最大限に活かせるのか」。それがアスリートそれぞれの体力トレーニングの目的になるのではないかと思うし、4年間という限られた競技人生、満足のいく時間の使い方をして欲しいと願いを込めて、これからも学生のサポートを行いたいと思います!

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この記事を書いた人

現場での活動を通して、スポーツについて思うこと、選手と指導者、チームとの関わり方、目標とする大会へ向けての準備(コンディショニング)について書いています。バレーボーラーの日頃の活動の+αに繋がれば幸いです。

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