試合帯同レポート#12 全日本バレーボール大学選手権大会(全日本インカレ)

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 12月2日から7日まで東京で行われた全日本インカレに帯同しました

 この大会は4年生にとって最後でありチームの集大成となる大会で「追求」というテーマを掲げて

日本一を目指して練習に励んできました

 最終日、決勝戦で東京女子体育大学に1-3で敗退し、準優勝という結果でした
 「日本一」という目標は達成できませんでしたが、選手は素晴らしい経験を体験したと思います
 今回は、6日間全6試合のサポートで特に準備を重ねた内容を記録します

内容

・全体ウォームアップ

・会場入りから試合までの動線確認

・コートの選択

・各自の準備

・コミュニケーション

●全体ウォームアップ 大会の1週間前から全体ウォームアップのドリル選択と順序を学生トレーナーと話し合いました。

 ドリルの構成は

 ①上半身への負荷(倒立歩行か手押し車)

 ②動的ストレッチング

 ③基本動作( ステップ)

 ④ホップ・ジャンプ動作

 ⑤リアクションドリル 

 これらは秋のリーグで実施していたものをベースに、アレンジを加えてスキルアップを図りました。

 うちの全体ウォームアップの目標は「正しい動きのインプット」です

 正しく動けば、関節はスムーズに動きそれに付随する筋肉は関節を適当に固定し安定性が生まれます

大会期間は毎日、選手の動きを観察し「きっちり動く」指導を続けました

アップの動作はパフォーマンスに反映します

その後のボール練習に動きやすさを感じるとの声もありました。

 全体で15分、最初はこのボリュームがきつかったようでしたが1セット目からトップギアで入るにはこのくらい必要なことは試合をすると理解してくれました。リアクションは全てハンドシグナルや相手の動きに合わせるなど視覚からの刺激で行いました。

●会場入りから試合までの動線確認 大会会場は4日目まで八王子、準決、決勝は大田区の2会場でした。特に3回戦の1試合目、フロア開放までの時間でウォームアップを完成できるかを考え、会場に入ってから個人のアップの時間を無駄なく確保するための動線を工夫しました。

 5日目の準決勝は、会場変更に伴ってスケジュールや控え室、アップ場所を再確認し、できるだけ事前に行動のイメージを共有しました。

 この考え方は夏に行われた西日本インカレで動線確認を行なった経験が生かされました。

●コートの選択 実は決勝戦の場でさえもキャプテンは「コートチェンジ」を選択しました。非常に勇気のいる行動でしたが、そのくらい私たちにとっては重要な事だと認識しています(その結果、1セット目を先取することは出来ました)。

 チームの伝統的なルーティンとして会場に入ったら「指差し」という行動をしています。簡単にいうと会場とコート、自分との距離感を視覚情報から認識する行動ですが、コートから見えるものによって”動きやすさ”が違うことを選手は認知しているからこそ、コートの選択はとても大事だと捉えてくれています。今回は同じ会場でもコートの位置の違いでパフォーマンスが変わる選手がいることもわかりました。

●各自の準備 全体のウォームアップが始まるまでに、各自で準備する時間を設けています。これは普段の練習から取り入れています。

 特に大会期間中は、朝の出発前にテープを貼ったり体を動きをチェックする要望に対応しています。ストレッチングはもちろんのこと、体幹トレーニングなども自分の課題に合わせて取り組んでいます。夜も選手は相談やその日の状態の報告やケアを希望してきますが、動きが良くなるほど皮膚が緩み、体の状態が良くなるのもこうした長期の大会期間で見られる面白さです。

 最終日には今まで以上にたくさんテープを使いました。ユニフォームを脱ぐと、実は身体中テープだらけです。ケガではなく全てはパフォーマンスを引き出すきっかけとして使うことが多いです。

●コミュニケーション 大会期間は寝る時以外はほぼ選手と行動を共にします。長く時間を共有する中でお互いの信頼関係が生まれ、選手の本当の気持ちや考え方に触れる瞬間が出てくるのですが、時に想像しなかったヒントを得ることもあります。私もわからないことや気付けないこともあり、選手に相談されて「なるほど」と思うことも多いです。

 例えば「試合中にプツッと集中力が切れてしまった」と。え、そうなの?とこちらは見えてなかった事を知ります。そこで「エネルギー不足かもしれないから、ゼリーを多めに補給しようか」とアドバイスする。次の日「多めに(ゼリーを)摂ったら大丈夫でした!」

 あの場で言える事はそれでしたが、こういうやり取りから、エネルギーのリーク(漏れ)は今後の課題と捉えたり、気をつけて観察したりするようになります。

 一方通行になりがちなアドバイスも、言ってくれる、返してくれるこのキャッチボールは大事だと思います。皆が同じように「理解してくれる、わかってくれるだろう」という勘違いは捨て、選手に対して笑顔で、こちらの誠心誠意を伝えるために意識と思いやりを大事にするようにしました。

●まとめ 私ごとですが、チームに関わって5年目、こんなに早くセンターコートに立てる日が来るとは思いませんでした。前任の伊集院トレーナー(師匠)の技術・知識・経験値の総量には一生かかっても追いつけないのはわかっていたので、私なりの努力を積み重ねてきました。

 大会期間の私の一番の役割は「選手のコンディションを最大限に引き出すこと」です。体が動かなければ、戦術は遂行できない。控えの選手含め、誰を起用しても、コートで仕事ができるように備えることです。

 しかしながら、そのための情報収集や日頃の環境整備の積み重ねが結果として重要なリソース(資源)でした。全ては日頃の練習から先を見据えた準備です。それが確認できたのはやはり決勝の舞台に立った時でした。

 そしてあと1勝するために足りないものもしっかりと見えました。これが「経験する」ということなんだと思いました。

 チームやトレーナーそれぞれの考え方や立場によって様々な準備の方法はあると思いますが、このような準備を重ねた1つの事例として何か参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

現場での活動を通して、スポーツについて思うこと、選手と指導者、チームとの関わり方、目標とする大会へ向けての準備(コンディショニング)について書いています。バレーボーラーの日頃の活動の+αに繋がれば幸いです。

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