現場指導レポート#19:トレーニングルームでの学生対応

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 大学のトレーニングルームでサッカー部の選手に対応する事が増えました。理由はバレーボール部の子が連れてきてくれるからです。「本当はいろんな事を知りたいと思っているんですよ」と学生は言ってくれます。

 今日は膝を曲げると、内側へ膝が落ちてしまう(Knee-in)を改善したい、という要望に指導した内容です 

内容

  • Knee-in とは
  • 動きのエラーの改善
  • 現場で思うこと

●Knee-inとは Knee-in(膝が内側へ入る)アライメント(骨格)異常の事をさします。原因として扁平足や外反母趾など足部アーチの低下や股関節がしっかり伸びない、お尻の筋肉が弱いなど、何らかの機能が低下していることが多いです。特に女性の場合は男性と比べて骨盤の幅が広いため膝が内側に入りやすく、X脚が多いのも特徴です。このような姿勢の人はつま先を外へ開いて歩くToe-out傾向も見られることが多いです。

 歩く、走る、ジャンプ動作時にひょこっと膝が内に落ちるので、膝のケガを抱える場合があります。

 この選手は、逆にO脚(脚が外側へ広がっている)の傾向が強く、太ももの外側の筋肉が過剰に発達していました。お皿の外側への牽引力が強く、膝蓋骨脱臼の手術したとのこと。

 片脚スクワットをさせてみると曲げた時に膝が内に入り、つま先は外へ開いている様子が見られました。足部アーチの落ち込みを指摘すると本人も自覚がありました。

●動きのエラーの改善 まず、見えたもの・・足部アーチを指摘。ちょっと使い方をアドバイスすると片脚立ちの「お尻めっちゃ使いますね…」とすぐに変化に気づいてくれたのでよかったです。

 次に気になったO脚、最大限立位で開脚をさせると内転筋の緊張と骨盤が前に傾き、骨盤の不安定性が見られました。聞くと腰痛も抱えている、とのこと。やれやれ、こちらが問題です。腹圧をかけ前に傾く骨盤を起こすと、ようやく後ろ側の筋肉(お尻と大内転筋)が機能し始めました。膝を正しく伸ばすことができると膝の内側の筋肉が使えるようになり、お皿の引き上げを外側に頼りすぎていたことを伝えました。

 彼の中でお尻が使えないという理由に納得したものがあったようなのと、この時点で汗だくだったので本日はここで終了しました。

●現場で思うこと)。 大なり小なり「意外と選手は困っている」ということです。困っている認識はないかもしれないのだけど「なぜうまくいかないのだろう」という疑問を抱えているし、考えている。そういう選手だからこそちょっとしたアドバイスでどんどん変わっていく様を見させてもらえるんだろうな、と思います。考えていなければ、出会うことも求められることもないのでしょうね(ほんと、彼女のおかげです)。

 もう一つは「意外と能力を使いきれていない事を知らない」ということです。この選手だけでも多くのエラー動作がある。痛みがあるのは膝かもしれないけど、問題はそこではない。それを指摘できるのが専門家の役割で、もっと「問題はそこではない」し「もっとあなたは使える身体があるんだ」という事を知ってもらえたらいいなと思います。

 選手との出会いも縁。私はここで、私のできることを精一杯こなしながら「ああ、今日も何とか対応できてよかった」という気持ちと「どうしたらいいかわからない」という気持ちを日々、繰り返している。こんな私に、学生を連れてきて ”いつも頼ってくれてありがとう” と心から思いました。

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この記事を書いた人

現場での活動を通して、スポーツについて思うこと、選手と指導者、チームとの関わり方、目標とする大会へ向けての準備(コンディショニング)について書いています。バレーボーラーの日頃の活動の+αに繋がれば幸いです。

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