貧血①

#106 アスリートの貧血:その①

多くのアスリートが抱えている健康問題の一つが「貧血」です。

今回は Otsuka & NSCA Japan Sports Nutrition Academyより

【座談会】「アスリートの貧血を考える」ーカラダを守るー

とてもわかりやすい内容だったので、紹介したいと思います。

【 内容 】

  1. ”気づく”ための手段・習慣
  2. 貧血は”鉄分”が不足しているだけじゃない
  3. 食に気づく、食を選ぶ

 

【 ”気づく”ための手段・習慣 】

例えば・・・以下のような症状はないでしょうか?

・動悸がする

・疲れやすい

・パフォーマンスが落ちている

・筋肉がついてこない

・なかなかコンディションが上がってこない

 

という普段と異なる状態になった時は「貧血」を疑い医療機関を受診する

・・・そういう選択肢も考えられます。

 

「うちのチームは体力がなくて、もたないんです。だから体力をつけてほしい」

「もっと、走り込んだ方がいいのか?」・・・そう相談を受けることは多々あります。

 

当然、通常の練習量が不十分で、積んできたトレーニング量では

足りない、相対的な「体力不足」ももちろん考慮すべきことです。

しかしながら、周りが気にするような体力低下・・・

「急に」パフォーマンスが落ちる、疲れやすいという初期判断

本人が十分認識できることであり、

逆に、”本人にしかわからない” こともあるのでは?とも思います。

 

だからこそ、

”普段と何かが違う” ということに『気づく』ことが大切・・・

『気づく』ための手段・習慣を

ジュニア世代の段階から、なるべく早く伝えておくべき

 

「おかしい」と自分で気づくこと。

自分では判断できず「相談」すべきこともある、と知っていること。

 

そして、貧血かどうかの判断は、血液検査の数値で理解すること

体力不足の判断は、定期的な体力測定で客観データを比較すること

 

「選手の自己管理や意識が低い」と選手のせいにする前に

 

まずは情報を整理して、日常生活を改善していくことが大切

練習と食事をセットで考えることを習慣化させる

 

貧血を予防するには”食”がとても重要なことは間違いなく

エネルギーとなるのも”食”であり

エネルギーを作る場所である筋肉を増やす材料も”食”であり

カラダを構築し、カラダを修復する時間が”睡眠”です。

 

どんなに素晴らしい練習も、どんなに多くの時間を費やしても

ライフスタイルが全ての土台になる。

ジュニア世代からの習慣はその先のステージで

考えて行動する思考の源です。

 

【 貧血は、”鉄分”が不足しているだけじゃない 】

 

貧血といえば「鉄分不足」ということは多くの方が認知されています。

一番多いのは鉄欠乏性貧血で、

その他にも溶血性貧血、

鉄ではなくビタミンB 12が欠乏して起こる貧血

もあることは、あまり知られていないかもしれません。

 

「貧血」とは血の量が少ない、という意味ではなく

血液の中のヘモグロビンの数が多いか少ないかが、評価の一つとなります。

ただ、ヘモグロビンは鉄とタンパク質で構成されているので

鉄分が足りていても、タンパク質が足りないことで貧血は起こります。

タンパク質は、アスリートにとって最も大切な栄養素の一つです

 

溶血性貧血とは、衝撃によって赤血球が壊れてしまうことが原因の貧血です。

素足で競技を行う剣道、ジャンプ着地の衝撃が多いバレーボール選手、

三段跳びの選手にも多いと言われます。

予め、そういうリスクが考えられる競技には、貧血の選手が多いのでは、という認識と予防が大切です。

 

また、成長期の男の子には、運動の強度や衝撃に加えて、

骨の成長が進んでいる場合にヘモグロビン値が低くなりやすい、というデータがあるそうです。

10代のアスリートにおいてケガの発生は

ヘモグロビン値が低い方が多い傾向にある、というデータも存在する

 

このようなデータは、時に大きな勘違いも起こします。

「では、鉄剤を子供に飲ませれば、身長が伸びるのか?」

おそらくこのように考える人も少なからず居るのではないでしょうか・・・

 

そもそも適切な食事が摂れていないからこそ、起こっていることなので

きちんと栄養を摂る意識作りが大切です。

 

「スポーツしているのに、ダイエットしている」

これも間違った習慣だと、気づいていますか?

 

【 食に気づく、食を選ぶ 】

どんなに正しく、いい情報だとしても最終的に実行するかしないかは

自分自身だということ。

私はこの仕事をしていて非常に、感じることです。

高校生の年頃の年代では、周りの友達に「お肉を食べると太る」と考える人が多かったのも思考として影響していたと思います。父や祖母からは肉を食べなさいと言われていましたがあまり聞き入れず、作ってくれた料理も選り好みして残していました。

高校生になると、お弁当を持参し一年の頃は食べていましたが、そのうち購買のパンを買って食べるとそれが美味しいと感じ、お弁当を残して祖母を悲しませることがありました。

その後、買い食い中心になり、自分の好きなものだけを食べるようになってしまったのです。

こうした傾向は人によっては、制御できないと思うのです。

 

最後の一行が、私は人間らしいと思うのです。

ここで筆者は、

「青春時代を競技に費やす以上は、他にやりたいことがあっても

我慢しなくてはならないことも多いです。好きなことをしているとはいえ

楽しいことだけではありませんから。

そんな時、自身で自由にコントロールして買って食べられるということが

楽しくて仕方なくなってしまったのですね。」

 

・・・よくわかります。

でもこの食習慣は将来的に、決して良い影響を与えない、ということは

『アスリート』を含め、理解してもらわねばなりません。

 

人間は弱い面がある。それも全て含めて、どう考え行動するか。

 

私にできることは、そういう面を認めつつ

本人が本当に望む行動を、サポートすることだと考えています。

 

【 まとめ 】

今回は

・貧血の一般的な症状

・貧血の種類は多様にある

・生活習慣の大切さ

・習慣を変える難しさ

・・・という内容でした。次回はもう少し具体的な情報・内容をお伝えします。

 

無論、女性に関しては月経も貧血と関連があります。

初経を迎えると一気に貧血の頻度が上がることを理解しておくべきです。

 

まず今回は言えること。

 

「たくさん、食べよう。」

 

 

 

About the author: MISAKA AYA

バレーボール競技専門の女性フィジカルトレーナーです。 現場での活動を通して、スポーツについて思うこと、選手と指導者、チームとの関わり方、目標とする大会へ向けての準備(コンディショニング)について書いています。バレーボーラーの日頃の活動の+αに繋がれば幸いです。